想うは、あなた一人。-2

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「うわぁ、最悪。びっちょびちょ」 「ホンマ。ゲリラ豪雨ってやつやなぁ」 千波はハンドタオルで軽く濡れた部分を拭く。 そのあとで、それを川上に差し出した。 「あ、すいません」 「いえ。でも、濡れたまま乗っても大丈夫ですか? 傘もびちょびちょやし……」 「ああ、平気っすよ。気にせずにどーぞ」 体についた水分を拭き取り、川上はハンドタオルを千波に返した。 そうして車の鍵を開ける。 ガチャ、とロックの外れる音を聞いてから、ドアノブに手を掛けようとした、その時だった。 「千波」 背後から声をかけられ、千波はパッと声のしたほうを振り返った。 声の主を目にした千波は、大きく目を見張る。 「………り、陸さん……」 少し離れた場所で静かに佇みじっとこちらを見ていたのは、なんと陸だった。 何故ここに陸がいるのか状況を把握できず、千波はぼんやりと陸の顔を見つめる。 「な、なんでここに……」 喘ぐように呟くと、陸はスッと表情を険しくした。 「雨が酷かったから、帰りに寄ったんだ。困ってるんじゃないかと思って」 「………え」 「でも、必要なかったかな」 感情を押し殺したような陸の声を聞き、千波はハッとする。 ここにきてようやく、陸が怒っていることに気が付いた。  
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