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それから、特に大きな出来事もなく2ヶ月程が過ぎ。
3日と開けずに部屋に押し掛けて来ていた陽菜だったが、何故かここへきて顔を出す頻度が少しずつ減ってきているようだった。
ぶっちゃけ陽菜の急な来訪は疲れている時にはキツいものがあったので、始めのうちは助かったと思っていたのだが。
さすがにその間隔が少しずつ開いてくると、俺は何だか落ち着かないような不思議な気持ちに襲われ始めていた。
(………千波さんに、怒られたんかなー?)
たまに顔を見せても、不意にどこか物憂い表情になる時がある。
底抜けの明るさが取り柄だったので、そんな様子もどことなく心に引っ掛かっていた。
そんなある日。
煙草を買いにふらっと近くのスーパーに出向いている道中。
自転車に乗った男子学生が、反対側から走ってくるのが視界に入った。
陽菜の弟の広空(ひろたか)だと気付き、よう、と言って手を上げると。
広空のほうも俺に気付き、笑顔になって自転車を漕ぐスピードを速めた。
「大地にーちゃん!」
立ち止まった俺の元に全速力で駆けてきて、キーッと手前でブレーキをかける。
久し振りに会った広空は、前に会った時より随分と背が伸びていた。
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