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俺の名前は、五十嵐 大地。
父は南あわじの市議会議員を勤め、そして元地主という由緒正しき五十嵐家の現当主でもある。
大学を卒業してすぐ、俺は父の後を継ぐべく父の秘書を勤めることとなった。
父の右腕として働き始めて早四年、いずれは出馬することを見越して目下勉強中である。
「………あ~、疲れた…っ!」
一日の仕事を終え、自分の部屋に戻った俺は、思わずスーツのままベッドに倒れ込んでしまった。
秘書とは言っても、雑用も多い。
ましてや息子の俺に、父は全く容赦がない。
毎日へとへとになって、帰宅してからぐらいは本当はゆっくりと休みたいのが本音なんだが……。
パタパタ、と軽快な足音が部屋に近付いてくる音を耳にして、俺の疲れは更に輪をかけたものになった。
………ああ、今日もまた、アレが始まるのか。
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