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「……………」
俺は胡座をかいた膝に頬杖をつき、溜め息混じりに屈託なく笑う陽菜の顔を眺めた。
陽菜は可愛い。
それだけは間違いなくて。
でもそれこそ、生まれたその日から知ってて、オムツ変えるとこ横で見てて、小学校低学年までは風呂だって一緒に入ってて。
………そんなのハッキリ言って、妹と何ら変わりない。
実際、陽菜だってそうだと思うんだよな。
大好きなお兄ちゃんを慕う気持ちと恋を、混同してるだけで。
事実、こうして平気でベッドの上に乗ってくるし。
多少なりとも男として意識してるなら、こんな無防備な訳ないし。
(………一回、押し倒したろーかな。ほんなら幻滅して、目醒めるかも知らんし……)
お兄ちゃんの仮面を脱ぎ捨てて、少し乱暴な『男』の一面を見せてやれば、陽菜だって気付くんじゃないだろうか。
────自分が、恋に恋してたんだってことを。
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