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赤ちゃんが寝付くと、恵美はホッとした顔で微笑んだ。
「やっぱり私にはカズ君無理かも……あ、お茶入れるね。」
恵美はパタパタと台所に走って行った。
赤ちゃんは沢山泣いたせいだろうか、可愛い顔でスヤスヤと眠っている。
カズ君は父親似かもしれない。
赤ちゃんのクセにキリッとした眉をしている。
それにしても……僕は考えてしまう。
恵美のお母さんは8時に家を出て行ったと聞いていたが、僅か1時間の間に涙を流してしまう恵美にも困ったもんだ。
赤ちゃんにボソッと話しかけたが、赤ちゃんは相変わらず眠っていた。
「お茶入ったよ。」
恵美は僕の肩に手を掛けて、赤ちゃんを覗き込む様に言った。
僕の頬に当たる恵美の髪が、その甘い声が、恵美に対する愛しさを募らせる。
ふと抱き締めたい気持ちになったが、『変態』と思われても困るので奥歯をギュッと噛み締めて我慢するのが大変だった。
「可愛いね。」
僕は恵美に素直な感想をいうと、恵美は自分が誉められた様に嬉しそうに微笑んだ。
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