第二話 Mって

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「ありがとう」 亜紀は礼を言い、右手でグラスを持った。 静かに口に含む。 喉が乾いていたことに、そのとき気付いた。 マスターの視線がスカートを握る左手に向いた。 亜紀は恥ずかしさと闘いながら、 翳りがすべて現れるまで左側のスカートだけを 上に引いた。 「美味しいですか?」 「はい」 「私も美味しいです」 そう述べたあとの、マスターの笑みは本物だった。
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