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未だ計り知れない程の謎が眠る「宇宙」
何故か、ここで口論が行われていた。
「人間め…。もう生かしちゃおけん…。我慢の限界だ…。」
初老の声が宛てなく流れる。地球の上から。
すると
「フィラレス…あなた、もしかして…。」
と若い女性の声が地球に向けられた。月の上から。
「どうやらその様だ。サーラ。」
次は紳士的な声だ。太陽から流れてくる燃え盛る音に乗ってきた。
なんと、それぞれの声は各天体の上にいる人間が発していた。どういうことだ。
二人を見ながらフィラレスが苦しそうに訴えた。
「サーラ。グルチェス。お前らも知ってるだろ…。この俺が…どれだけの間、人間から苦しめられてきたかを。」
サーラが小さく俯いて間を空け、寄り添う様に返す。
「分かってるわ…。けど、そんなことしたら、あなただけでなく、この太陽系までも―」
「じゃあ俺はどうなっちまうんだ!」
一斉を包む静寂。
またフィラレスが口を開く。
「このままなら消えるのは俺だけ。お前らに害は無ぇもんな。」
この時、グルチェスは前さえも向けず歯と拳に力を込めていた。
そう。力になれず悔しがっていた。そんな中声を発する。
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