1人が本棚に入れています
本棚に追加
まさかこんなに学力高いと羨まれてる人がこんな天然な所を持っているとは思えないであろう。
するとチャイムが鳴った。時計を見る祐也。
「お。もう式か?」
京都が合格発表日にもらった時間割りを見た。
「いや、これは予鈴だね。本鈴は五分後だよ。」
すると武が立ち上がって呼び掛けた。
「じゃあもうそろトイレ行っとこ?」
「そうだな。」
「入学式の途中でトイレに行く程恥ずかしいことなんてそうそうないしねっ。」
武に倣う二人。
トイレの中はなかなかの生徒で埋まっていた。
「あちゃ~…。(祐也と神地はそれぞれ次の番だから良いけど…。ん?)」
小便器の向かいを見る。
「(あ、個室空いてるじゃん!ラッキー!)」
と迷わず入っていくと
「(まだ皆、個室に入るのをためらっ―)」
どうしたのだろうか。自然にドアが開くのと同じ様に閉まってしまった。だが、鍵がかからない。
先に終えた祐也が振り向く。
「あれ?安城は?」
「もう先に行ったんじゃないかな?」
チャックを閉める武。
祐也は他の生徒がいなくなったのを見計らい、武を呼んだ。
「おい、神地、見てみろ。ここのドア、閉まってんのに鍵かかってねぇぞ。」
「ってことは…?」
武が祐也の顔を見ると、いたずら心が丸見えであった。
「安城鍵くらいかけろよなっ!」
思いきりドアを開けるが
「へ?」
自然とドアが閉まる。
「祐也~…?」
とドアを開けると、何も声は聞こえず、ドアは開いたままとなった。
最初のコメントを投稿しよう!