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「でも結局バレて、母さんに追い出された訳だけど、俺と親父は、わざわざ日本に飛ばなくてもアメリカ内で引っ越せば良いじゃんって思うかもしんねぇけど、親父がシャチョウやってる会社はデカ過ぎて、結局どこにいても暮らし辛かったんだ。親父も親父で顔が広過ぎて、それが凶と出た。有名人はこういう時にリスクがある。どこにいても、噂は絶えないし」
「うん………」
「それで親父は、外国を選んだ。親父の『元々の家』がある日本だ。ってそれ以前にこれ以上ほったらかしにする訳にもいかないだろ」
「『元々の家』って…本当の奥さんと子供の住んでる家って事だよね」
「そ。で、そこに親父が十四年ぶりに帰って来た訳だ。それも、俺を連れてな。本当の奥さんも子供もいたし。そりゃ俺を見て、気が狂うだろ。自分の夫に、相手が誰かも分からない子供がいた んだ。しかもずっとほったらかしにされてた」
「…………」
「で、親父がもし奥さんと仲直りしたなら、親父がそこに住むのは良いとしても、問題は俺だ。
だってどう考えても、俺までそこで一緒に暮らすなんて、相手の妻子にとって酷だろ。ってか俺も無理だし…」
「つ、つまり…だってそれって、浮気してた相手と正式な相手が一緒に暮らすって…事になるもんね?」
「浮気レベルじゃねぇ。結婚してんだから不倫だ。でもそういう解釈で合ってるよ」
「うん。だよね…それで、優は日本に来て、結局どこで暮らすことになったの…?」
「ホテル」
「え?」
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