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腹立ち紛れに、僕は多分『嫁』とか平気で本当のことを言いそうな、ハニーのセリフを、もぎ取って言った。
僕の『看護師』発言にハニーが一瞬、悲しそうな顔をしたけど、知るか、莫迦!
佐藤が、ハニーの職場の関係者なら『生涯の伴侶です~~』なんて、ぽけぽけと言えるワケないじゃないか、くそ!
しかも、こいつ、ハニーの部下だって?
ハニーが男を相手にしてた、なんてバレたら、自分の職場での立場が無いじゃないか!
僕はぷんぷん怒りながら、半分怒鳴るように言った。
「霧谷さんは持病があるので、その体調管理に雇われた『ただの』看護師です!」
「螢君……」
僕の自己紹介に不満があるらしい、ハニーの声なんて、無視だ!
「名前は……名前は。
相模 螢(さがみ ほたる)といいます。
よろしくお願いします!」
「螢君!!」
一瞬迷って、それでも使い慣れた『旧姓』を名乗れば、ハニーが切羽詰まったような抗議の声をあげた。
それに、なんだよ、うるさいな!
と噛みついたとき、佐藤がのほほ~んと、割って入った。
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