恋人達の午後

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「海にいるときの螢は、まるで。  人魚姫みたいだった」  ……は? 何だって?  スキューバの全装備が二十キロあったとしても、海中では浮力で軽い。  けれども、空気中に上がれば。  その重さが、潜水で疲れたカラダに身にしみる。  先に、ハニーが肩を使って僕を船に押し上げ。  次に、僕がハニーの手を取って、船上に引き上げてる最中だった。  ハニーが、いきなり僕を人魚姫 呼ばわりしてくれるもんだから。  思わず、そのまま手を離し、ハニーを海に落としてしまうかと思った。 「ああ?  なに寝ぼけたことを言ってるんだ。  半魚人の間違いだろ?」  照れる、というより、呆れる。 「ハニーの目はどこについてるんだ?  いや、目をつぶっていても、散々僕の素肌に触れているから、判るだろうに。  僕は、姫なんかじゃねぇ。 『王子』だ」 「それは、悪かったな」
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