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◆康介
公園内は閑散としていた。
時間が時間なだけに当たり前か。
それでも数組のカップル達が、公園に点々と設置してあるベンチに身を寄せ合って座っている。
この公園から見るタワーの姿は圧巻だ。
そしてとても幻想的だ。
「うん。……わかった」
意外にもあっさりとした彼女の回答。
俺は驚きと同時に少しだけ寂しさを感じていた。
はっきり言って、もう少し面倒な話になると思っていた。
「じゃあ、本当に終わりで良いね?」
だから俺は、思わずそう言って彼女の反応を再確認しようとした。
よく考えれば自分から切り出したことなのだから、今の質問はなんともみっともない質問だ。
だけど、彼女がやっぱり別れたくないと言ってくれることを期待している自分がいた。
やっぱり俺はズルい男だ。
「……うん」
彼女の回答は変わらなかった。
そうだ。
これで良いんだ。
これで……。
自分自身に言い聞かす。
本当にこれで終わりなんだと。
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