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「あ、はい……そうなんです。でも やっぱり英語で言わなければ通じないんですかね?」
「そう言う時のために、通訳の人がいるじゃないか」
「え?通訳?」
新鮮な響きのその言葉に、思わず聞き返す奈央子。
すると先生は
「そうか、太田は昨夜の夕食時 遅刻して来たんだったな。んーと どこ行った…。お、いたいた。あの男の子だ」
奈央子は一瞬先生が「男の子」というニュアンスで言ったので、拍子抜けた感がした。
先生が奈央子に向かって手招きする。どうやら奈央子の背後にその人はいた模様。
「どうされましたか?」
その声に振り向くと、一人の男性が奈央子の横に立っていた。
先生の歳から見ると、『男の子』ってなるんだろうが、奈央子からしてみれば、違う。
「昨日お前は遅刻して聞き逃したが、最初に彼から挨拶があったんだよ。仕方ない、今簡単に説明してやるからちゃんと聞いておきなさい。
彼は、苺学園の修学旅行生に優先的に付いてくれる通訳兼(けん)乗組員の一人だ。ついでに覚えておくように。名前は、咲(さく)さんだ。"くん"呼びでも良いぞ。二十代前半だそうで、船にいる間は皆のお兄さん的な存在になるだろう」
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