第34章:咲という人。

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まるで一円玉みたいな大きさ・デザイン・厚みのそれ。色は、銀色。模様は一切ない。 「一円玉じゃ、ない!じゃ―…」 「だから盗聴器だって言ってんでしょ」 「!」 「っていうか、人の身体にくっ付けるって時点で、"良からぬ物"である事には変わりないだろ。 だって、じゃあ仮に一円玉だとして。わざわざ君の服に、一円玉をくっ付ける意味は何?君は大仏様でもなければ、女神の像でもないだろう?あとは…寄付とかされたって事になるよ?一円玉を君にあげる目的は何?」 「た、確かに…」 野城に顔を近付けて、頷いた。 「パッと見、コイン形のリチウム電池みたいな物だね。これも多分、一円玉と同じサイズだと思う。直径2センチ。君がコレを一円玉だと思ったのも無理はないさ」 パッと見、だけでそこまで分析できるのもどうかと思う奈央子だったが、優がいない今は野城に頼らざるを得なかった。 今の奈央子には、野城=拒否反応というのはそっちのけだった。
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