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「電池…?」
「知らないの?こういう電池売ってるんだよ。ボタン型とも言うけどね」
奈央子は黙って聞いていた。
「裏側にシールが付いてたのか。ま、両面テープとかで 何とでもなるけどね。とにかく、くっ付けれるように細工(さいく)して、君の服の分かりにくい箇所に、貼った と。僕に見抜かれたけど」
「あの―…野城くん。どうしてそんな物が私に?」
恐る恐る話す奈央子。すると野城は
「それは、こっちが聞きたいよ」
と顔を上げて、奈央子を見た。奈央子もテーブルの下の野城の手から目線を上げて、彼を見た。
「僕が聞きたい。太田さん、君が…盗聴器を仕掛けられなきゃならない女の子だったなんて、びっくりだ」
「……ん」
「さっきのあの乗組員に、何か恨まれるような事でもしたの?」
「え!な!ないよ絶対!だって」
「じゃ、逆に好かれてるとか?」
「それも絶対ないよ!」
「何か心あたりは無い?」
「………」
「ま、何にしろ――…どんな目的があるのか知らないけど、客に盗聴器つける乗組員なんて、ヤバすぎでしょ。これ、黙ってる訳にはいかないな。先生に言うべきだ。僕が代わりに言って来てあげようか?こういう事はちゃんと報告したほうが、いや、するべきだよ」
「ま、待って野城くん!!」
奈央子は椅子から立ち上がろうとする野城を ひき止めた。
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