第34章:咲という人。

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「お待たせ~。向こうで部屋の子たちと話込んじゃってさ。そこでずっと食べてたの。奈央子、一人でご飯つまんなかったでしょ?探しに来れば良かったのに」 「あかねちゃん。ううん!っていうか何かやっぱ今、食欲ないんだよね、別に寂しくはなかったよ。そういやご飯全然食べてないや」 だが奈央子はまるで空腹を感じなかった。 愛加もあかねも、奈央子の隣の椅子に座る。野城はそんな女の子三人組の会話を黙って聞いている。 「えー!まだ何も食べてないの!?もう時間終わるんじゃないのっ」 と驚く愛加。 「か弱いわねぇ、奈央子」 あかねがあくびしながら言う。 「ちょっと優と他の女の子がアレだからって、すぐこんな調子?」 「う」 「前も言ったけど、相手が優じゃこれからも――…」 「わー!わかってるって!!それはわかったから!でも大丈夫だよ?実は乗組員の人に頼んでもらってね、お持ち帰り用にこれ作ってもらったんだ」 と言いながら、奈央子はランチボックスを二人に見せた。 「じゃ、今日途中で空腹で倒れるってことはなさそうね」 「ないよ!そこまで!」 「でももし倒れた時は~~っ。上城クンにっ!ガシッと受け止めてもらったりして」 とキャッキャ愛加。 その言葉に、奈央子は一瞬黙り込んだ。そして、気のせいか・・・ 隣の席で静かに座っている、野城と 目が合ったような 気がした。
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