0人が本棚に入れています
本棚に追加
/33ページ
「『今は食欲が無いから、後から観光中でも食べれるように、パンをトレーか何かに包んで持って行けるようにして欲しい』んですが」
そのまんま(一部を改正し)言って退けた奈央子。彼女の胸は高鳴っていた。
なぜならこの要望は、『優によるもの』ではなく、『犯人によるもの』。
―――
「あのさ、ちょっとした頼みがあるんだ」
「え?」
「つっても俺を捕まえてるヤツからの命令なんだけど」
―――
目の前の人が優を拐った犯人の『仲間(グル)』だと知る訳もない奈央子だが、
自分の発言や行動一つが、優の"運命"に関わっているんだという変な"責任感"を感じていた。
すると奈央子が話し終えた途端、咲は一瞬 無表情になった。
そして、何かを悟(さと)ったような表情になる。
最初のコメントを投稿しよう!