第34章:咲という人。

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奈央子がテーブルに帰ると、 「おかえり」 野城が奈央子のカバンを置いてる隣の椅子に、座っていた。 まるで、お姫様の帰りを待つ王子のよう。 奈央子が近付くと、サッとカバンを椅子から持ち上げて、奈央子が座れるようにした。 「あ……ありがと」 野城も野城で女の子の扱いが上手いと思った。優とはまた異なった方面で。 その素早い気配りに奈央子が思わず礼を言うと 「一応、荷物見てたんだ。ほら、君の友達…なかなか帰って来ない。向こうで立食状態になってるしね」 すると奈央子がクスクス笑うので、野城は「???」という顔になった。 「?なに?」 「ううん、違うの。素直に『私と一緒にいたかったから』って言えば良いのにって思って」 「そんなセリフ言ったら、益々ウザいと思うだろう?もうこれ以上ウザがられるのは嫌なんだよ」 「もうこれ以上ウザがりようが無いよ」 と奈央子が言った後二人でクスクス笑った。久しぶりに和やかなムードになって来る。とその時、 「お客様、お待たせいたしました。テイクアウト用の箱にお入れさせて頂きました」 咲がやって来たので会話は中断された。
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