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奈央子がテーブルに帰ると、
「おかえり」
野城が奈央子のカバンを置いてる隣の椅子に、座っていた。
まるで、お姫様の帰りを待つ王子のよう。
奈央子が近付くと、サッとカバンを椅子から持ち上げて、奈央子が座れるようにした。
「あ……ありがと」
野城も野城で女の子の扱いが上手いと思った。優とはまた異なった方面で。
その素早い気配りに奈央子が思わず礼を言うと
「一応、荷物見てたんだ。ほら、君の友達…なかなか帰って来ない。向こうで立食状態になってるしね」
すると奈央子がクスクス笑うので、野城は「???」という顔になった。
「?なに?」
「ううん、違うの。素直に『私と一緒にいたかったから』って言えば良いのにって思って」
「そんなセリフ言ったら、益々ウザいと思うだろう?もうこれ以上ウザがられるのは嫌なんだよ」
「もうこれ以上ウザがりようが無いよ」
と奈央子が言った後二人でクスクス笑った。久しぶりに和やかなムードになって来る。とその時、
「お客様、お待たせいたしました。テイクアウト用の箱にお入れさせて頂きました」
咲がやって来たので会話は中断された。
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