第34章:咲という人。

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奈央子が背後を見上げると、奈央子の背中に付くように咲がピッタリと立っていた。奈央子のすぐ背後から来たので、奈央子は気付かなかったが、野城は先に気付いていた様だ。 咲から手渡しで"それ"を受けとる奈央子。野城は奈央子に渡す咲を、黙って上目遣いで見ていた。 奈央子が軽く箱を開けると、 「わぁ…!」 「クロワッサンと、サンドイッチ、温野菜を少々、マーガリンとイチゴジャムも入れておきましたのでクロワッサンにお好みで付けてお召し上がり下さい」 「ありがとう」 サイズはティッシュ箱の半分くらい。全体的にビニール袋に包まれている。 相変わらず『営業スマイル』で説明をする咲。 「汁ものはございませんので、カバンに入れてましても大丈夫ですので」 「うん。ありがとうございます」 「それでは、俺はこれで失礼します」 「どうも」 「じゃ…… 「ちょっと待てよ」
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