第34章:咲という人。

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さっぱり訳がわからない奈央子は二人を交互に見た末、 「え、野城くん。この人が触った?私に?」 「あぁ。まさか、僕に気付かれないとでも思ったのか?」 しかし咲がそれに対して何か言おうとする前に 「まぁ良い。当の太田さん自身も分からなかったみたいだしね。僕は親切な客だ。今のはあまり騒がないでいてあげるよ。有りがたく思え?」 と野城。 それは久しぶりに、あの独特の毒々しい含みを込めた、高らかな物言い。
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