5310人が本棚に入れています
本棚に追加
/231ページ
照明が落とされた病院内では、ナースステーションの明かりだけが煌々と光っていた。
耳をつんざくような銃声が轟く。
一気に体中の血の気が失せ、手足の感覚がなくなった。
拳銃を抜いて階段を駆け上がると、薄暗い廊下の奥に佇む、男の後ろ姿があった。
駆けつけてみると、よく知っているその人物の手には拳銃が握られている。
そして。
その銃口は真っ直ぐ、奥へ向けられていた。
病室の中にいる人物へ。
血を流して倒れている三倉雪穂に向かって……。
あり得ない。
にわかには信じがたい光景だった。
どうして……
どうしてあなたが……!!
倒れている三倉さんを、彼は銃を手にしたまま黙って見ていた。
三倉雪穂刑事に向けて発砲したのは、
蒼馬湊人刑事だった。
最初のコメントを投稿しよう!