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『え!そ、それは確かですか!?』
あたふたとする若い男性の声が、受話器から漏れていた。
「あぁ。画面は真っ暗だ。完璧な失敗だ」
『かしこまりました、申し訳ありません…。至急、付け治して来ます…あ!』
「何だ?」
『駄目です、レイさん。彼女は もう観光に出掛けたんじゃないスかね?もしかすると、もう船内にいないかもしれません』
「ならば探すのだ。当たり前の事を言わせるな。観光に行ってしまったのなら、おまえも早く船外へ出ろ。とにかく―…、"あれ"を早く奈央子に付けて来い。一体どんな付け方をしたら、すぐに外れるんだ!?」
『申し訳ありません!では今すぐに彼女を探して、予備の同じ物を付け直して来ます!』
電話を切ると、すぐに優が
「あんた、その男に―…奈央子に何かさせたんじゃねーだろーな!?」
と叫んだ。
すると、レイは再び落ち着き払った顔に戻り、
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