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「心配無用。何も害を与えるような事はしていない。さっき言っただろう?」
と答えた。
「何を!?」
「話を戻す。分かるな?奈央子には、"あんな内容"のメールを送った。
しかしだ。だからと言って、いくら『誰にも言うな。言ったら優の命はない』と伝えたところで、彼女が誰にも話さないという保証はない。この程度の事は、脅しでしか無い。僕は奈央子の性格は詳しく知らないが、勇気のある人間なら、全く持って効かない」
「………まぁ確かに…」
「だからなるべく彼女には、『私は常に、優を誘拐してる奴らに監視されている。優のためにも 変な行動はできない』と、"思わせる"必要がある。そこが重要なんだ。
彼女の顔は、乗客リストの資料に付いていた顔写真を先ほど手に入れた。この顔で間違いないな」
そう言って、レイは一枚の写真を 優の顔の前に差し出した。
それは、確かに、優が知っている、丸顔で 童顔で 穏やかな目付きで たっぷりの栗色の髪が胸元まで下ろされている、
愛しい奈央子の顔写真だった。
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