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「レイって…、アイツ、レイって名前なのか?」
コクリと頷く一樹理事長。そして再び口を開く。
「何せ、私の孫の、婚約者の兄だ。近い内に、身内になるからだ。しかも―…」
「もう一回 言って?」
「レイは、私の孫の、婚約者の兄だ」
「へ…ぇ…。その孫、婚約者なんているのか。さめてんなぁ」
違和感。いや、胸騒ぎとでも言おうか。
それも、一樹理事長の雰囲気がどこか、あの人を思わせるだからだろうか。
「その孫は、我が苺学園の生徒でもある」
「え!マジか!誰だよ」
と言いながらも優の目は、何かを悟ったような表情をしていた。
「私が、息子に進めたのだ。苺学園に入学させろ、とね。
なぜなら、とてもじゃないが私の息子は、恥ずかしい話なんだが…、その子に対して、もはや『育児放棄』と言えるレベルだったんだ。だがらせめて、私の力で孫を救えるものなら、救いたいと」
一樹理事長の優を見る目は、どこか鋭かった。
だが、優は動じる事はない。
「あぁ。俺の父さんは、俺ばっか可愛がってたから、その子は同じ父親であるにもかかわらず 惨めな暮らしをしてきたって言いたいんだろ?
で、俺が憎いか?
お祖父(じい)さん」
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