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サムはパンを食べていた。窓から差し込む光は明るかった。
当然ながら、子がいれば、親がいる。親にだって親がいる。親だって人の子だ。
親の親だって親はいる。そのまた親の親の親にも親はいる。そして、その存在は、普通に知っている。
隠す理由もない。
そう、 "複雑な家庭環境"の場合を除いては。
「そういう話をするつもりは無いんだよ。だけど、君は推理力が高いね。バレてしまったか。隠していたんだけどなぁ」
そう言って微笑みながら、リンゴジュースを飲む一樹理事長。
「そりゃあ、だって俺、"正常な子供"じゃねーし。だから、父さんだって自分の親にも俺の事隠してたんだろうし。ってか隠したいだろうし?
俺、ずっと祖父って存在の人がいなかったから。母さんの父さんは若くして亡くなった。あっちの父さんのほうは、本当の祖父とは言えないだろうし」
「『あっちの父さん』とは、純一さんの事かい?」
「もう、知りすぎだっての」
「じゃあ なぜ、純一さんの父親は、君にとって『本当の祖父とは言えない』って思うのかね?」
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