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「京助、あんたまだ馬鹿なこと考えているんじゃ無いでしょうね?」
「馬鹿なこと?」
「自分は葵にふさわしくないとか、そういう事よ」
図星を刺され、僕は言葉に詰まる。
「やっぱりね。京助、あなたね、葵があなたのことを気にしているのは何でだと思うの?」
「何でって、それは」
正直言って分からない。葵さんはどうして僕と仲良くしてくれるのだろう?
「鈍いなあ。あんたに興味があるからに決まっているでしょう?」
「でも、僕は取り柄なんて」
「まあ、取り柄らしい取り柄は無いわね。でも、そんなこと関係ないじゃない。理由なんていらない。強いて言うなら、そうね……、京助、私たちが初めて会った日のこと覚えている?」
「覚えているよ。入学式の日、茜さんが僕にぶつかって、葵さんが助け起こしてくれて」
そう、あれから全てが始まったのだ。よく考えるとまだ一年も経っていないのに、かなり昔の様な気がしてくる。
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