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「だから、警察は自殺として処理をしたと?」
「まあ、そうなるね」
「でも、動機は何ですか? 自殺をするような動機、啓太には無かったはずです」
「お決まりの受験ノイローゼだね」
「またそれですか? 受験生が自殺をしたらすぐそれ、ちょっと、杓子定規過ぎませんか?」
「そうは言われてもね、他に自殺する理由が見つからないんだから仕方ないだろう?」
「なら、自殺じゃ無いんですよ」
茜は言い切る。そして続けて、
「そうだ、遺書はあったんですか?」と尋ねる。
「そこも、自殺説には弱い部分だね。遺書は見つかっていない。ただそうだとして、君には、何か考えがあるのかい?」
「いえ、それはありませんけど」
「まあ、良い、何か思いついたら、この名刺の番号に連絡をくれるかな?」
そう言って児玉は名刺を差し出す。そして、それまで名前を尋ねていなかったことに気がついたのか、
「君の名前は?」と質問する。
「桜井茜です」
刑事の名刺を受け取りながら、茜は名前を名乗った。
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