対決

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 火葬場に戻った茜は、新見と刑事から聞き出した話を頭の中で何度もこねくり回していた。そこから何か新しい形は生まれはしないかと。しかし、いくら考えても、どのような考えも浮かんでは来ない。  気がつくと、骨上げの時間となっていた。まず、啓太の母親から、そして、数人の親戚の後、茜と葵に竹の箸が回ってきた。人の形に並んだ遺骨に大きなショックを受けながら、二人は骨壺に遺骨を移す。あまりのショックからか、葵は虚ろな瞳になっていた。それが、啓太なのだと認識できていないのかも知れない。その遺骨の中に啓太の面影はかけらも無かったからだ。  葵は、次の人に箸を回すと、少し離れた場所に移動する。そして、その場にうずくまると、再び肩をふるわせた。
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