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次の日、十二月三十日本来なら年の瀬も押し迫ったこの時期、桜井家では大掃除を行うのだが、この日は誰もそのようなことができそうには無かった。茜は居間のソファーで横になり、葵は政志にほぼ無理矢理部屋から連れ出され、朝食を摂ると、食卓にそのまま座っていた。政志も食卓でコーヒーをすすっていたが、三人とも抜け殻のように過ごす。政志が手持ちぶさたにでもなったのか、郵便受けに新聞を取りに、ついでに郵便が来ていないかを確認しに部屋を出る。郵便の確認は昔から、葵が率先して行っていたのだが、事件の連絡があった二十六日以降、それどころでは無く今まで放置されていたのだ。
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