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「そうは言われてもなあ」
政志は困惑したように顔をなでる。そのとき、机の上に放り出されていた政志の携帯が震える。着信があったらしく、表示を確認して電話に出る。
「ああ、どうした? ああ、分かった」
政志はそう言うと、送話口を抑え、悪い、母さんからだ、そう茜達に伝えて部屋から飛び出していく。
「葵、私は信じるよ。啓太は自殺なんてしない、私もそう思っているから」
茜が葵の肩に手を置き、真正面から葵の顔を見つめ、告げる。
「茜ちゃん、ありがとう」
葵はそう言うと、茜の手を握る。
「良いって事。私だって、啓太を殺した犯人が許せないもの。だから」
茜はそう言って、今日、告別式や火葬場で新見や児玉刑事に聞き込んだ情報を葵に話して聞かせる。その間、葵は茜の聞いたことを委細漏らさず聞き出そうとでもするかのように、たまに言葉を挟んでは疑問点を解消していく。
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