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「とまあ、聞き込んだのはこれくらいだけど」
茜がすべてを話し終えても、葵は何も言わず、黙り込む。
「葵、何か分かったの?」
茜の問いに葵は首を振り、
「これだけじゃ何も」と応える。
「そうよね。私もずっと考えているんだけど何も分からないし」
その時、電話を終えたらしい政志がリビングに戻ってくる。どことなく悄然としている様子だったが、子供の死というのは悲しい物だ。それが、小さい頃から知っている人物だったらなおさらだ、彼の心労も相当な物だろう。
「私、疲れたから部屋で休むね」
葵はそう言うと、茜と政志をその場に残し、リビングを抜け出す。そのふらふらとした足取りに、茜は心配そうな表情を浮かべていた。
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