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「本当にそんなことができるのか?」
児玉刑事は葵の言葉に驚きを隠せない表情で問いかける。
「できます。そのためにも、あの日のことを、少し振り返ってみましょう」
葵はそう言って息を吸う。その行為は自身を落ち着かせようとしているようで、茜は少し安堵した。
「あの日、私たちはクリスマスパーティーのために集まりました。参加人数は十三人です」
茜は今更ながら、十三という数字に不吉な物を感じた。クリスマスと言えばキリストの降誕祭である。そして、十三という数字は一般にも知られているとおり、キリスト教にとっては特別な数字なのだ。それも、よくない方向で。
キリストがゴルゴタの丘で処刑されたのが十三日の金曜日、そして、処刑される前夜、十二人の使徒とキリストを含めた十三人で晩餐を摂ったというエピソードはキリスト教徒では無い茜ですら知っているほど有名な話だった。
「パーティーでの細かい流れは省きます。これからの話には関係がありませんから。ただ、パーティーを抜けて帰った順番だけを追っていきます」
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