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「さて、では、次に確認するべき事に移ります。それは、雪です」
雪、つまり、足跡のことなのだろう。家から離れに通じる道の間に啓太の足跡が無かった、だから、啓太が離れに移動した後、彼の足跡はその後に降った雪によって隠されたと考えられているのだ。だから、啓太は自殺したと結論づけられた、しかし、今更それを確認してどうするつもりなのか、茜は葵が何を言おうとしているのか興味を持って見守る。
「雪は、私たちが全員集まったときにはすでに降り出していました。そして、パーティーの間降り続け、結果、雪は積もりました」
「足跡が残るくらいにね」
茜が言葉を挟む。
「そうです。足跡が残るくらいに、降っていました。では、雪はいつまで降っていたのか、先ほど確認した五人が帰るまでは降っていましたが、私たちが帰るときには止んでいました」
「だからこそ速水君は、五人が帰り、彼がまだ無事であることを確認された後、君達がまだ家の中にいて雪の降っている間に離れに移動したとしか考えられない。そんな事は分かっているんだ」
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