第四章ー悪夢ー

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『なぁ……潤、何であの時話を聞いてくれなかったんだ?』 南野が風間を恨めしそうな目で見ながら呟いている。風間が黙っていると、南野は一歩、また一歩と足を進ませ、風間に近づく。 『おい潤……無視するなよ。小学校からの仲だろ?お前があの時、ちゃんと話を聞いて一緒に行動してくれていれば、俺は死ななくて済んだんじゃないか?』 南野がそう言葉を発した瞬間、顔の皮膚がバナナの皮のようにベロンとめくれて地面に落ちた。 風間が恐怖で後ずさりすると、後方に地面が無いことに気づく。振り返ると、濁った川が勢い良く流れていた。 逃げ道が無い状況にパニックになっていく。額からは冷や汗が噴き出し、身体は小刻みに震えている。 『なぁ潤、俺さ……何でこんな殺され方されなきゃいけないんだ?俺が何をした?俺の人生、こんな簡単に終わっていいのか?』 地面に落ちた南野の顔の皮膚が、声に合わせて口をパクパクさせている。目の前に立つ顔の皮膚が無い南野は、いつの間にか巨大なノコギリを両手に持っていた。 『止めてくれ……譲二。俺が悪かった……俺が…………だから』
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