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「うっせえなあ」
窓側の床では、不機嫌そうな顔をした弥彦が、短髪の赤髪を掻き、だるそうに身体を起こした。
志郎と同じ制服を着ているが、志郎とは違い首もとや袖を緩めていて、ちらりと覗く身体には程よい筋肉がついているのが見てとれる。
目は鋭いものの、切れ長で意志の強そうな瞳をしていて、精悍な顔つきをしていた。
志郎とはまた違ったタイプの人間だというのが分かる。
「黙れよ!」
いつまでも叫び声を上げ続ける久美子に、弥彦が怒鳴った。
しかし、久美子は前方を指差したまま悲鳴を上げ続け、弥彦の声も聞こえないようだった。
弥彦と志郎が立ち上がり、久美子の指差す先を見る。そして、弥彦と志郎は顔を歪めた。
「何だあれ」
「何だか気持ち悪いな」
そこには黒板があり、大きく文字が書かれていた。
『三人の頭を集めて箱に入れろ』
黒板の前にある教卓の上には、人間の頭が三つ入りそうなサイズの箱が置いてあった。
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