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中には紙が一枚入っていた。他には何もない。紙は箱の大きさに見合わず、両手で収まるサイズだ。
『二つの刻みし円盤が場所を示す』
紙には横書きでそう書かれていた。
「刻みし円盤?」
「何だそりゃ」
弥彦が久美子の手から紙を摘み取る。
「場所を示すって何の場所だろうな?」
顔の前で紙をひらひらさせながら、弥彦は眉を寄せて文字を見た。
「何かは分からないけど、きっと手がかりではあるよね」
志郎が眼鏡を押さえながら考え、思い付いたままを口にしていく。
「円盤は丸い何かかな。で、それは刻んでいると。何かを刻む丸いもの? それが二つ」
「そして、この教室にあるもの、だよね。ここから私達は出られないんだし。さすがにないものを指定したりはしないよね?」
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