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「だとすると、針の方向は違うと思う。腕時計を持っている人が動いてしまった時点で、文章が成立しなくなるから」
「じゃあ何だろう? 共通点としては時計の針が変な位置で止まっていることだけど……」
三人は時計を眺め、それぞれに考え込む。始めに気付いたのは志郎だった。
「これ、また数字を示している可能性は?」
「数字?」
「針が変なところで止まっているだろう。針が差している数字が何かの場所を示しているんじゃないか?」
志郎の言う方法で考えると、教室の時計は短針が一、長針が五を示していることになる。
「俺の時計は短針が三、長針が七だな」
「一と五、三と七が示す場所?」
久美子が首を傾げて考える。
「一、五。苺? 十五なら十五夜とか?」
「そんなものどこにもないぞ」
この教室に机はあるが、ここは使われていない教室そのもので、変わったものなど一つもない。
「一と五、三と七はバラバラで考えるよりも、同じ考え方で解いた方がいいんじゃないかな。一と五をそのまま文字に置き換えるなら、三と七も文字に置き換えるって具合に」
志郎が久美子の考えを補整する。
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