1

10/21
前へ
/449ページ
次へ
柏木 秋斗。 俺の一つ下の後輩だ。 「よ。お前も休憩?」 「……ええ」 低い声が答える。 「柏木。お前、今日時間あるか?」 同僚の一人が柏木に声をかける。 柏木は腰を折り紙コップを掴みながら、同僚にちらりと視線を向ける。 「時間あるならお前も、」 「今日は用事があるので」 最後まで言わせず、柏木は断った。 取り付く島もない、とはまさにこのことだ。 窓ガラスに追突した虫がパーンと弾かれる姿がちらりと浮かんだ。 それくらい、ある意味気持ちいいくらいの弾かれようだ。 俺は傍観したままイチゴカフェオレを口に含んだ。 うん、やっぱうまい。
/449ページ

最初のコメントを投稿しよう!

2765人が本棚に入れています
本棚に追加