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*** キーボードを叩いていた手を止める。 何気なく外を見ると、窓から見えた空はどっぷりと暗かった。 反対側に見えるビルにもまばらにしか電気がついていない。 腕時計を見る。時間は八時過ぎ。 六時くらいまでは時間の認識があったのに、どうやら集中しすぎていたらしい。 「篠宮、お前、まだ残るか?」 部長が立ち上がって帰り支度をしている。 フロアを見渡すと、数人ちらほら残っているだけだった。 「あともう少ししたら帰ります」 「そうか。あまり無理するなよ。彼女に振られるぞ」 俺は苦笑した。 「振られるような彼女いませんって。いい人いたら紹介してくださいよ。娘さんとか」 「ばか。うちのはまだ五歳だって言ってるだろ。じゃあな。お疲れ」
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