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いきなり背後から声がして、俺の心臓は飛び上がった。
その拍子に、折角届いた百円玉を指で弾いて、更に奥へと押し込んでしまった。
あぁぁぁ!俺の百円!俺の貴重な百円が!
がっくりとその場に項垂れる。
「……大丈夫ですか?」
「……大丈夫じゃない」
俺の異様な驚きようと、そして蛙のような格好のまま動かない姿に、色んな意味で不安になったのか怪訝そうに声をかけてくるのは、あの柏木だった。
「……お前のせいで俺の尊い百円が二度と手の届かないところへ行ってしまった」
いまだ収まらない心臓は、バクバクと俺の皮膚を叩いている。
それが落ち着くまで、悪いがこの格好でいさせてもらおう。
正直、驚きすぎて腰が抜けた。
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