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「あと少ししたら帰ります」 「そうか」 俺は両手を地面につき、力を入れて体を起こした。 革靴から柏木本人へと目を向ける。 思ったよりも近い距離に内心驚きつつ、さりげなく距離を取った。 柏木の手には空になった紙コップ。 柄からしてまたしても無糖のコーヒーだと推測される。 「なぁ」 俺は紙コップを指さした。 「それ、一気飲みして美味しいのか?」 柏木は一瞬虚をつかれたような顔をしてから、僅かに眉を寄せる。 多分頭の中で、「こいつ、なにくだらないこと聞いてんだ?」って思ってるはずだ。 それでも答えてくるあたり、根は真面目なんだろうかと思う。
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