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「お前…、酔ってんのか?」 あと考えられるとしたら、柏木が持っている缶ビールしか考えられない。 「まさか。たった三本で酔ったりしません」 「じゃあ……、あれか、ギャップってやつをお前も狙ってるのか」 自分でも何を口走っているのかよくわからなかった。 だけどこのあまりにも違う柏木を説明できる何かを、必死に考えていただけだ。 柏木は楽しそうに笑う。 「なんですかそれ。篠宮さんって、賢いんだか何だかよくわからない人ですね」 「……よくわからないのはお前だろ」 馬鹿にされた気がして、缶ビールを一気に流しこむ。 喉を温い液体が流れていく。 どうやら柏木は、長い時間ここにいたらしい。
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