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よからぬ妄想を繰り広げている俺の横で、柏木は「あぁ…、それはないですね」と言った。 それはない?どれだ? 「俺、ゲイなんで」 「ゲ……」 息を飲んでしまったせいで、変なところで切ってしまった。 決して否定の意味や嫌悪感を抱いた「ゲ」ではない。 ただ純粋に驚いてしまっただけだ。 だってそうだろ。 例え本当のことだとしても、それをわざわざカミングアウトする必要あるか? このタイミングで、会社の同僚である俺に。 俺自身特に偏見はないが、そういうのはやっぱり奇異の目で見られたりするだろう。 人は少数派、つまり自分にとっての「普通」じゃないことには冷たいのだ。
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