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「マジか」 「マジです」 柏木はコンビニの袋からもう一本缶を取り出した。今度は酎ハイだ。 こいつ、一人でどれだけ飲むつもりなんだ。 俺の呆れた視線に気づいた柏木が、更にもう一本缶酎ハイを取り出す。 「篠宮さんも?」 「俺はいい。……お前、どうして俺にそんなカミングアウトしたんだ」 会社では柏木がゲイだという話は広まっていない。 これだけの優良物件なんだから、一人にバレるとあっという間に社内に広まるだろう。 だけどそうじゃないってことは、柏木が誰にも話していないからだ。 そんな大事なことを、どうしてただの同僚である俺なんかに打ち明けたんだろう。 しかも、まるで天気の話でもするみたいにさらりと。 俺、そんな重大告知されるほどこいつと親しい覚えないんだけど。
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