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俺は「ふーん」と言って缶ビールに口をつけた。 大好きではないけど、特別。 また随分と複雑だな。 「今日は篠宮さんに会えてよかった」 「は?毎日会ってるだろうが」 同じ会社に勤めているんだから、顔くらいは毎日見る。 何を言っているんだと柏木を見ると、桜の木をただ静かに見つめていた。 「満開の桜をあなたと眺める日が来るなんて、思ってなかったから」 「柏木……?」 こいつは一体、何を言っているんだ。 そんな儚い瞳で、どうしてそんなことを言うんだろう。
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