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目が合って、ドキリとした。
金曜日の夜のことを思い出したからだ。
あの日の柏木はいつもと全く雰囲気が違った。
優しげな眼差し、柔らかい微笑み。
そして今にも散ってしまいそうなほどの儚さ。
どれを取っても俺が知る柏木秋斗ではなかった。
柏木が近づいてくる。
そして俺の前でピタリと立ち止まる。
ゴクリと唾を飲んだ。
俺を見下ろす眼差しは、金曜日見たものとは違って見えた。
「間違えてますよ」
俺が知る、柏木秋斗の低く硬い声。
それはやっぱり金曜日の夜出会った柏木とは違うものだった。
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