夏の始まり

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2人でおばあちゃんの家に向かって並んで歩く。 純は俺より少し背が高い。 あと、結構かっこいい。 すれ違う人みんな純を見ている。 「純」 「はい、なんですか」 「…純も敬語やめてよ」 「あ…、癖なので…でも沢田くんがそういうのなら、努力しますね」 にこにこと俺の目を見て話す純。 なんか大人っぽくて、同い年に見えない。 少なくとも俺の友達にこんな人はいない。新しいタイプだ。 「純はさ~、なんでおばあちゃんの家で手伝いしてんの?」 「あぁ…柚さんの家の庭に畑があるじゃないですか?」 ‘‘柚” とは、俺のおばあちゃんの名前。 おばあちゃんの家の庭には少し大きい畑がある。 前に行った時は、トマトやナス、キュウリにとうもろこしとかが たくさん生えていた。懐かしい。 「僕の家、農家なんですよ。丁度家が近所だったので、柚さんがもう畑を使わない、と譲ってくれたんです。それで、畑をいただいた代わりに僕が長期休暇限定で家の手伝いを…」 「へぇ…そうなんだ!それで、今は野菜生えてるの?」 「僕が育てているので今もたくさんありますよ!元気な子たちばっかりです」 ふふ、と微笑む純にこっちまで笑顔になる。 こんなことを言うのは変だな…とは思うけど、俺は なんだかお兄ちゃんができたみたいで ちょっと嬉しかった。 ________________ ________ いろんなことを話しているうちに、人通りが減り、だんだん田んぼや山、畑ばかりの景色になってきた。 空が青い! 高い建物がないから、余計に高く広く見える。 「沢田くんは東京から来たんですよね?」 「ん?おー!そうだよ!」 「へぇ…羨ましいです…!」 「えー!東京、羨ましいかなぁ…」
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