1人が本棚に入れています
本棚に追加
/14ページ
2人でおばあちゃんの家に向かって並んで歩く。
純は俺より少し背が高い。
あと、結構かっこいい。
すれ違う人みんな純を見ている。
「純」
「はい、なんですか」
「…純も敬語やめてよ」
「あ…、癖なので…でも沢田くんがそういうのなら、努力しますね」
にこにこと俺の目を見て話す純。
なんか大人っぽくて、同い年に見えない。
少なくとも俺の友達にこんな人はいない。新しいタイプだ。
「純はさ~、なんでおばあちゃんの家で手伝いしてんの?」
「あぁ…柚さんの家の庭に畑があるじゃないですか?」
‘‘柚” とは、俺のおばあちゃんの名前。
おばあちゃんの家の庭には少し大きい畑がある。
前に行った時は、トマトやナス、キュウリにとうもろこしとかが たくさん生えていた。懐かしい。
「僕の家、農家なんですよ。丁度家が近所だったので、柚さんがもう畑を使わない、と譲ってくれたんです。それで、畑をいただいた代わりに僕が長期休暇限定で家の手伝いを…」
「へぇ…そうなんだ!それで、今は野菜生えてるの?」
「僕が育てているので今もたくさんありますよ!元気な子たちばっかりです」
ふふ、と微笑む純にこっちまで笑顔になる。
こんなことを言うのは変だな…とは思うけど、俺は なんだかお兄ちゃんができたみたいで ちょっと嬉しかった。
________________
________
いろんなことを話しているうちに、人通りが減り、だんだん田んぼや山、畑ばかりの景色になってきた。
空が青い!
高い建物がないから、余計に高く広く見える。
「沢田くんは東京から来たんですよね?」
「ん?おー!そうだよ!」
「へぇ…羨ましいです…!」
「えー!東京、羨ましいかなぁ…」
最初のコメントを投稿しよう!