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「おばあちゃん!久しぶり!」
「陽ちゃん!会いたかったよ、大きくなったねぇ!」
家に入ると、前に会った時より少し小柄になったおばあちゃんが俺と純を出迎えてくれた。
「純くんもありがとうねぇ、お迎えに行ってくれて」
「いえいえ」
「陽ちゃん、お部屋用意してあるからね。純くん、案内お願いしてもいいかしら」
「もちろんですよ。沢田くん、こちらです」
純はスッと俺の手荷物をひとつ持ち、階段の方へと歩き出した。
「お、おう…」
自分でも、持てるんだけど。
またひとつ大人びた行動をする彼に、ちょっぴりドキッとしてしまった。
オトナの余裕ってやつ?
かっけー。
おばあちゃんは夏休みの間俺がずっと暮らすから、と 部屋をちゃんと用意してくれたらしい。
と言っても、お母さんが子供の頃の部屋を使えるようにしただけなんだけどね。
俺と暮らすのが本当に嬉しそうなおばあちゃんに、少し照れ臭くなった。
階段を登り、その部屋に入って荷物を置く。
「あぁ重かったー!」
「ふふ、お疲れ様です。この荷物、ここに置いてもいいですか?」
「あっ、うん!ありがと」
「どういたしまして」
それにしても、この部屋すごいな。
チョコレートのような深い色のフローリングに、白い壁。
フローリングと同じ色の窓枠から覗く外の景色は、東京じゃ想像もできないたくさんの緑。
少し背伸びすれば、庭の隣の茂みの裏に、川も見える。
こんなにゆったりとした生活、つまらないわけがない。
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