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「あの」
誰かの声で、おばさんが動きを止める。
「彼、嫌がってるように見えるんですけど…失礼ですが、ご関係は?」
ーーそこに立っていたのは…
白皙の美青年。
凛とした空気を身に纏い、俺たちを見つめていた。
「ご、ご関係はって、やーね、恋人同士にでも見えたかしらぁ?」
まだまだおばさんの態度はでかいが、彼の雰囲気に圧倒されて 俺から手を離した。
助かった…
…でも、まだ触られている感覚が残っていて、きもちわるい。
ていうか恋人同士なんかに見えるわけないだろ。オカシイんじゃないか。
俺はおばさんに対して腹の底から湧き上がるような恐怖心を抱き、その場から動けなくなってしまった。
すると、その青年はおばさんの言葉を聞き、クスクスと笑い出した。
「な、何笑ってるのよぉ…!」
「残念ながら、彼はそう思っていないようですよ」
お、俺。
青年に突然話を振られ、心臓がどくん、と跳ねた。
おばさんの方をチラリと見ると、バツの悪そうな顔をして「なによ、少しくらいいいじゃない…」と言いながら立ち去って行った。
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