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おばさんが去ったのを確認してから、青年はベンチに座っている俺と目線を合わせるため、少し屈んで話しかけてきた。
「…………大丈夫ですか?」
「あ、はい、…なんとか」
「本当に嫌だったら助けを求めないとダメですよ。それにあの場合目撃している方も沢山いらっしゃると思いますし、多少力ずくで押し返しても正当防衛の範囲内でしょう」
ね?と言って俺の頭をポンポンと撫でる。
「すいません…初対面の人にこんな……ありがとうございました」
「いえいえ。そんなこと言う必要ありませんよ。さぁ、行きましょうか」
「はいっ………。? え?」
彼は俺の両手を握り、グイッと引き上げた。
「えっ、ちょっと、俺人と待ち合わせしてて、行くってどこに」
焦ってそう告げると、彼は目を丸くして俺を見つめ、ぶはっとふき出した。
「あなたが待っていたのはきっと僕ですよ。」
「あ………あなたが、お手伝いさん…?」
「はい。初めまして、沢田さんの家でお手伝いをさせていただいております。笠原 純です。よろしくお願いします」
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